「生きるのを手伝ってほしい」
漫画読んでないので「いじめた子と恋愛…!?」と思ってたら恋愛じゃなくて生と死の話だった。
「困ったときに依存先を増やす」ことが大事と熊谷晋一郎さんが仰ってましたがその通りで、将也は依存先を自ら遮断して生きるのをやめようとした。でも硝子との再会でいろんな場所や人とのつながり(依存先)を増やしていこうと思えたのね。生きるってそういうことなのかも。
・ストーリー
小学校の頃のいじめ(本人は自覚してなかった)をきっかけに逆にいじめられるようになった将也。高校ではいじめはないけど誰とも話さないので浮いた存在。
高3になった将也は自殺することにする。身辺整理をし、母が弁償した170万円を枕元に置き、最後にいじめた西宮硝子の元へノートを返しに行く。
「これは将也の物語」と監督が言っているように、硝子が何を考えているのかはわからない。
小学校のとき、何をされても硝子は笑顔で「私とあなたは友達」と言う。将也はまだ友達じゃないのに、気持ち悪いとはねつける。
小学生の硝子はその頃母親から普通学級で順応するように厳しく言われているので、かなり無理して、なんでも自分が悪いと思って抱え込んでるから笑顔でいるんだろう、花当番とか日直も引き受けてるんだろうとは、そこまでは想像できるんだけど、あそこまでされて「私とあなたは友達」は飛躍しすぎじゃない? と思っていた。
高校生の将也が手話で「あのとき僕とあなたは友達って言ってたんだよね」って意味でその手話をしたときに、私とあなたは友達に「なれるかな?」って意味が含まれてたんだって気付いたときはっとした。硝子は「なりたい、なれるかな」って言おうとしてたのかもしれない。
でもその後「またね」って言おうと思った真意は分からない。私は昔いじめてきた子がいじめの記憶生々しいノート持ってきたら怖い。(池まで拾いに入ったけどそのままにしてたってことは持ち帰るのやめたってことだし、実際硝子も再会のとき逃げてたし)
その後いかに手話でコミュニケーションとってきたり一緒に餌をあげたりしたとしても。いじめた自覚がなくて彼に悪意はなかったとしても。取っ組み合いになったから唯一「対等に扱われてると思ってた」? 小学生の頃の「私とあなたは友達(になれるかな?)」が伝わったからそこからやり直して始めようと思った?
なんにせよ「またね」が将也に来週の火曜日まで生きる理由を与えた。
また会うことのモヤモヤは見ながら残るので、結弦の存在がかなり視聴者の助けになってる。「自己満足じゃないの?」とか。贖罪するのは勝手だけど姉を使うなって思うだろう。
自分の姉が補聴器壊されたり耳に怪我とかずぶ濡れで帰ってきたり取っ組み合いの喧嘩して「死にたい」って言われた相手が数年後会いに来たらまあ会わせないよね。
将也がクラスメイトの心の声を勝手に作ってたり、自転車の後ろから話しかけられて(耳の機能としては聞こえてるけど「閉じてる」から聞いてない)話しかけられても気づかずにワンテンポ遅れたり、告白が届かなかったり。いろんなすれ違いがあった。
・合理的な配慮足りなさすぎ問題
小学校のいじめの原因は先生にあると思う。
全部口頭説明、ノートテーキングも生徒の気配りしだいって!?
たとえば範囲のページ数を黒板に書くとか、今日の授業の概要を書いておくとかすれば、硝子だけじゃなくて聞こえる子にも分かりやすいのに、一切やらない。
クラスメイトの面倒見が良ければ解決、その子たちの負担が増えてきたら(構造上の問題なのに)矛先が構造じゃなくて硝子本人に行くってキツすぎる。
しかも補聴器壊した犯人探しも将也が手をあげる前に名指しして一人が悪いってことにするし、教育する気なさすぎ。学級経営しなさすぎ。
・メインキャラ8人
漫画では7巻のところを2時間に収めているそうので、8人出すぎでは? と思ったけど、キャラが立っていた。
マシバとかはさすがに部外者やろ…と思ったけど(出番少ない)
橋の上のシーンは正論すぎてぐさぐさ刺さっていた。
・最高なのは結弦
赤いのでポケモントレーナーみたいな服だな……と思った。
硝子に会わせたくない気持ちすごく分かるので結弦がいなかったらストーリーに入り込めなかったと思う。
公園で寝てた日は靴なくしちゃったのか、喧嘩して靴も履かずに飛び出したのか。(後者?)
石田にもらった靴をずっとはいてたところよかった。
雨の中傘もささずに歩くけど、デジイチだけは濡れないように服の中に入れてるのも良かった。
・カニ大好きなマリアかわいい。
・石田
石田は服のタグがいっつも飛び出てるので直したい。
髪と表情はよく見たり練習するのにタグとシャツがいっつも出ちゃう……。
「これはいいパンだから」はかなり笑った。
いじめられたり無視されることに慣れすぎてるのか、Twitterなりすましからの停学くらったときも淡々としてるのが結弦の警戒を解いたのかなあ。
・硝子
硝子はネガティブなこととポジティブなことを同時に同じくらい考えてて、ネガティブなことも想定した上でポジティブな方向にとらえてるのかな。
・植野
硝子の、自分さえいなくなれば(ほかのことはうまくいく)とか、自分さえ我慢すればというのはある意味エゴイスティックだしそこが植野は気に入らないんだろうなー。
・川井
川井の最後の「千羽鶴集められなかった…」は将也に人望がないから集められなかったよ☆って無意識の嫌味かと思ってやなやつだなー! と思ったんだけど川井自身に人望がなくて集められなかったって意味で言ってるらしい。公正世界信念の権化のような子。
見た後でいろいろ読むと見逃してることがいっぱいあるので、もう一度見たいなあ。